寄生虫! 聞くだけでゾッとします。想像すると、もっとゾゾーッ、と背筋が寒くなります。
寄生獣という映画(原作はコミック)がありましたが、ミギーとかいう、あんな可愛らしい(?)もんじゃない! 共生なんて絶対嫌! お断りします!
……という存在が、寄生虫です。
今回は、ヒョウモントカゲモドキに寄生する寄生虫と、その症状について調べました。
寄生虫の分類
寄生虫とは……寄生生物のうち動物に分類されるものを指し、寄生動物とも言われます。
宿主の体に寄生する部位により、外部寄生虫と内部寄生虫の二種類に分けられます。
外部寄生虫とは、宿主の体表面に寄生するダニなどを指します。
内部寄生虫とは、宿主の胃や腸や肝臓などの体内に寄生する「原虫類」、「条虫・吸虫類」、「線虫類」のことを指します。
ヒョウモントカゲモドキに寄生する外部寄生虫と、その症状
野生のヤモリや、トカゲ、ヘビなどに寄生虫がいるのは当然です。
野生のヤモリを保護したら、体表面にビッシリと真っ赤なダニがくっついていて……というのも良くある話です。
ダニには吸血性のものと、非吸血性のものがいます。
吸血性のダニは、宿主の体表に取りつくと、傷をつけやすい薄い皮膚の場所を探します。
頭部や目、鼻や耳の近くを選ぶことが多いと言われます。
吸血場所を選ぶと、宿主の皮膚に噛みついて傷をつけ、その傷口からノコギリのような口ばしを突っ込み、吸血します。
その際、突っ込んでいる口ばしが宿主の体から離れないように、自分の唾液を使って接合部を固定します。それは、ちょっとやそっとでは取れない程、強力な接着剤となり、ダニは自分の体がパンパンに膨れ上がるまで吸血し続けられるというわけです。
ダニの体内には病原菌がウヨウヨいるので、迂闊に潰したりすると、宿主の体に刺さっている口ばしを通って病原菌が逆流し、宿主の体内に入ってしまいます。
それが原因で、感染症などを引き起こします。
ヒョウモントカゲモドキの場合、クリプトスポリジウムのような原虫類が、ダニを媒介にして入り込むことも考えられます。
ヒョウモントカゲモドキの飼育に使うパーム土等の床材や糞、脱皮殻などは、ダニが大変に好む生活環境です。
加えて高温多湿の環境下では、掃除を徹底して行わないと、あっと言う間にダニが大量発生してしまいます。
排泄孔周辺や、目の周囲、わきの下や指の表面、指の間などにダニが取りつきます。
ダニに吸血されると、ヒョウモントカゲモドキの小さい個体は貧血状態に陥ったり、食欲不振になったり、かさぶたや、白い点々が出たりなど、体表面にダニに食われた何らかの痕跡が出ます。
真っ赤な小さなダニ(タカラダニ)は、ヤモリ、トカゲ、昆虫などにくっついて、体表面に寄生し、その体液を吸って育ちます。
専門医に見せ、ダニ駆除をしてもらいましょう。
ヒョウモントカゲモドキに寄生する内部寄生虫と、その症状
前述でお察しの通り、野生捕獲個体のヒョウモントカゲモドキは外部寄生虫のみならず、内部寄生虫も持っている確率が高いです。
内部寄生虫とは、原虫類・線虫・ギョウ虫・鞭毛虫などです。
それでは、人工的に繁殖された個体(ブリード個体と言います)は安全かと言えば、これも疑問が残るところです。よほど管理が徹底していない限り、内部寄生虫の有無を購入時などに見抜くことはできません。
宿主であるヒョウモントカゲモドキの命を危険にさらすことはせず、おとなしく共生している寄生虫も居るには居ます。ギョウ虫や線虫程度なら、放っておいても心配はありません。ギョウ虫は腸内を漂ってくる栄養を摂取し、ヒョウモントカゲモドキの栄養吸収率を下げてしまいますが、命の危険まではありません。
ですが、宿主の体調を確実に悪くする寄生虫もいます。
例えば、コクシジウムという寄生虫は体内で増殖する、とても厄介な虫です。腸内に寄生して、虚脱感や食欲不振や腸炎を引き起こします。
また、クリプト原虫によって引き起こされるクリプト感染症は、発症し、重篤化すると絶対に治癒しません。餌を食べているのにどんどん痩せ衰えたり、皮下腫瘍ができたりもします。
専門医に見せ、適切な検査と治療を施して貰いましょう。
まとめ
トカゲ、ヤモリなどの爬虫類は、基本的に寄生虫がいる生き物だ、ということを念頭に入れておきましょう。
野外で採取したコロオギなどの餌は、寄生虫感染のリスクが高まるのでやめましょう。
人間に感染する場合もあるので、ヒョウモントカゲモドキに触れたり、糞の片付けなどの後は、必ず手洗いしましょう。