クル病って聞いたことがありますか? なんだか恐ろしげな名前ですよね。
戦後の食糧難の日本では、諸事情のために栄養不足に陥った子供達がクル病に罹って苦しんだ、という話を聞いたことがありませんか?
最近の調査結果では、栄養が行き届いているはずの現代でも、子供達がクル病に罹ることが増えている、と言うから驚きです。
自由な環境下にあり、十分に調整可能な人間の子供達ですら罹るクル病です。
では、完全に人間の飼育下に置かれたヒョウモントカゲモドキの場合はどうでしょう?
今回は、ヒョウモントカゲモドキのクル病について調べてみました。
そもそもクル病って?その症状は?
人でもヒョウモントカゲモドキでも、同じようにクル病に罹ります。
クルという字を漢字で書いて逆に配置すると、背が曲がって前かがみになっている人、の意味になります。
それを転用し、クル病とは、骨の発育期にカルシウムが骨にしっかりと定着できず、健全な骨の組織が作られずに生じる症状のことを指します。
その名前の由来通り、骨が曲がり、変形してしまう怖い病気です。
骨の変形によって筋力低下を引き起こすと、ヒョウモントカゲモドキは自分の体重を支えられなくなり、衰弱していきます。
それが重篤化すれば、取り返しのつかない事態になります。
ヒョウモントカゲモドキのクル病の症状としては、手足や背骨や腰骨などの体の骨が変形します。
病気が進行すると、四肢が曲がり、顎骨が変形し、頭蓋骨を含む全身の骨が脆く、ふにゃふにゃになります。
しっぽがカクッと折れたように曲がったり、食欲不振や筋肉の痙攣なども見られます。
ラバーマウス症になることもあります。
ラバーマウス症とは、下顎が曲がる症状のことを言い、柔らかくなった下顎が変形し、口が閉じなくなってしまう症状です。
顎がふにゃふにゃになってしまうと、与えられた餌を噛むことすらできなくなります。
成長期にある幼体や、産卵期の雌に多発する病気です。
また、脱皮の失敗後にクル病に罹る例もあります。
脱皮前の栄養が足りていなかったからです。
一度発症してしまったら、完治できません。
曲がってしまった骨は元の状態には戻りませんので、クル病は予防が一番重要です。
ヒョウモントカゲモドキのクル病の原因とは?
クル病の主な原因として考えられるのは、栄養不足が考えられます。
偏った栄養摂取(食餌)で、リンやカルシウムなどの栄養素が不足してしまう。
ヒョウモントカゲモドキに与えられている餌は、ほとんどの物はカルシウムが少なく、リンが多めの比率になっています。
普段から、カルシウムパウダーを振りかけた餌(この行為を、ダスティングと言う)を与えるように気を配り、 小皿などにもカルシウムパウダーを入れておきましょう。
ヒョウモントカゲモドキが自ら舐めてカルシウムを摂取してくれる場合もあります。
幼体の成長期やメスの産卵時には、体内に貯蓄されている大量のカルシウムが必要となります。日頃から、十分にカルシウムを摂取させておくことが肝心です。
カルシウムに次ぐ重要性のある栄養分が、ビタミンDです。
ビタミンDは脂溶性のビタミンで、成長期の幼体には必要です。
なぜなら、カルシウムを体に定着させるには、ビタミンDが必要不可欠だからです。
ただ、与え過ぎはよくありません。
ビタミンD3を過剰に与えると、クル病と同じような症状を引き起こすと言われているからです。
ビタミンDは、紫外線によって体内でもつくることができますが、バスキングライト(basking→日光浴の意。日光浴に代わる光源)や日光は、夜行性であるヒョウモントカゲモドキには不必要とされています。
まとめ
人間の完全飼育下では、食餌の偏りがクル病の一番の原因と言えます。
野生のトカゲは、体内に足りない栄養分を本能的に察知し、それを補って生きています。
カルシウムを多く含んだ虫を摂取したり、ミネラルを含んだ岩などを舐めたり、また、意図せずに日光浴をしたりすることで、クル病の発生率は低いでしょう。
クル病は、未然に防ぐことが一番重要です。